ウクレレを片手に、意気込んで視聴覚室のドアを目いっぱい開いた。


私は吹奏楽部でも軽音部でもなく、ウクレレサークルに所属している。


活動は週1回のみ。軽音部が休みの水曜日に、視聴覚室を貸してもらって活動している。


「こらー、エアコンの冷気が逃げる!」


挨拶もしていないうちに、2年生の友歌(ゆか)先輩から注意されてしまった。


私は慌てて中へ一歩入ると、ドアを閉めた。


「どうしたの? 何かいいことでもあった?」


私と同じ1年の陽帆(あきほ)が聞いてきた。


友歌先輩と陽帆は机を向かい合わせにして座っている。


私と陽帆が入会すると3年生の先輩は早々に引退してしまったので、サークルメンバーは現在この3人のみ。


毎週ウクレレの練習はそこそこに、大半の時間を雑談へ割いている。