花火大会は、正直それどころではなくて……一応、『わあ』とか『きれい』とか呟きながら見てはいたんですけど……


こんな人混みの中でキスされるはずがないってわかっていても、隣にいる壱樹のことばっかり気になっちゃいました。


10センチくらい離れて座っていたんですが、壱樹の体温だけじゃなくて緊張まで伝わってきて……


でも、きっと壱樹の頭の中もこれからするキスのことでいっぱいなんだろうなって思うと、それはおかしかったです。


だって壱樹ってちょっとお堅いタイプなんですよ。まあ、そういうところもまたいいんですけど……


えっ、『そんなことよりもキスの話をして』って?


……『顔が赤くなってる』とかそういう冷やかしは要らないですっ!