にこっと、綺麗な顔で笑う“かずくん”が頭に浮かんだ。

そういえば、幼稚園の頃は素敵な彼氏がいたんだっけ。


……どうして、忘れてたんだろ。




「どう? 思い出してくれた?」


「うん……」




かずくんはぱちりと瞬きして、くしゃっと、嬉しそうに笑う。




「そっか。よかった」


「か、かずくんは、ずっと覚えててくれたんだね」




今の、素の笑顔だ、と分かってしまって、ドキドキする。




「うん。1日も忘れなかった。……ねぇ、来年になったら僕達、結婚しよっか」


「け、結婚!? そ、それはいくらなんでも急じゃないかな!?」


「そう? 僕には長かったよ? 約束した日から、ずっと18歳になるのを待ってる」


「そ、それは……っ」




嬉しいけど!


かずくんはにこりと笑って、私の左手を握った。

薬指の根元を擦られる感触がくすぐったい。