「うん。大好き」


「人違いじゃなく……?」


「僕が由香ちゃんを見間違えるはずないよ」




かずくんは背中を伸ばしながら、私の手を自分の頬に添える。

目を瞑ったかずくんの温もりが手のひらに伝わってきて、胸がきゅう、とした。




「ね、僕達、ちゅーもしてたんだよ。今キスしたら、由香ちゃん、思い出してくれるかな?」


「きっ、キス!?」




ちょっと急では、とかずくんの胸を押さえようとしたら、それよりも早く頬に触れられて、瞑った目のまつ毛が近づいてくる。

すっと通った鼻筋も、肌も綺麗……。


なんて思っている間に、唇が。

柔らかく、触れる。




『ゆかちゃんは、ぼくのとくべつなおんなのこだよ。だれよりも、だーぁいすき』


『ゆかも、かずくんがだーいすき! おおきくなったら、かずくんとけっこんする!』


「ぁ……」