私はもうそのことで頭がいっぱいだ。ちょうど近くに里衣子ちゃんがいなくて良かった。里衣子ちゃんは先輩と話した直後、他の友達に呼ばれてそっちへ行ってたから、私が頭撫でられたことは多分、誰も見てない。

 私のことなんて里衣子ちゃん以外、誰も気になど留めていないのは知ってるから。

(今のって、湯浅先輩はわざと……? まぁそんなわけないか)

 こんなことに慣れていない私は、もう心臓がヤバい。
 それに、きっと顔も赤くなってしまっている気がする。湯浅先輩はもう、ここにはいないのに。里衣子ちゃんにバレる前に平常心に戻さないと!

 私が湯浅先輩のことを好きになった時期は、生徒会長としての姿を見てからだ。
 キッカケは、生徒たち皆がそれぞれ要望を言ったりする中、湯浅先輩はどの言葉にも耳を傾け、少しでもそれを叶えようと動いてる姿を頻繁に目にしていた。
 そして実際、湯浅先輩が生徒会長になってから、色々変わった。校則が大きく変わったとか、そういうのじゃないけれど、小さなことでもそれが積み重なれば、目に見える変化に繋がる。