『やっぱりアンタの方がお店の勝手も分かってるし、今日からまたお店来てもらえる?国光さんには許可もらったから!』


クリスマスを数日後に控えたある日、ARIAのママ・美鈴から連絡が入った。


お嬢のことはさておき、ARIAの仕事から外されたことは腑に落ちていなかった。


後輩育成のためならむしろ俺が一緒に行くべきだったし、こんなあっさり戻されるのも謎だ。


悶々として家の中を歩いていると、すれ違うたびに「おめでとうございます」と声をかけられた。


カレンダーを見て、ようやく今日が自分の誕生日であることに気がつく。


34歳——。


この家に来て17年も経ってしまったらしい。


はしゃぐ年齢はとっくに過ぎたが、お嬢からのプレゼントは毎年密かな楽しみになっていた。


もちろん物でなくとも、「おめでとう」の一言で十分。


しかしお嬢は既に朝から出かけているようで部屋は空だった。


どこへ行っているのか、いつ帰ってくるのかも分からない。


俺はARIAに向かう夜までボーッと過ごした。