2014年 春 現在
Side 紺炉


「要さん、まだお嬢に無視されてるんですか?」 


「ほっとけ……」


犬飼がニヤニヤしながら聞いてくる。


コイツ絶対面白がってるな。


ひと言文句を言ってやりたいところだが、「いりますか?」と差し出されたタバコは有り難く受け取った。


お嬢から「苦いからヤメテ」と言われてせっかく禁煙してたんだけどな。


こうして俺がお嬢に無視を決め込まれるのは実は2度目だった———。