その晩、
私は単なる夢とは思えない、不思議なほど望みに溢れた夢を見た。
母が私の夢に会いに来たのだ。
家族で住んでいた家のリビング
あの日、母が殺されていた場所に同じように
母が横たわっている。
私は近づき、母に声をかけた。
すると、あの日返事すらしなかった母は
夢の中では笑って返事をしてくれた。
しっかり生きている。
『…お母さん……生きてるの??本当に生きているんだね…!?』
私が泣きながら母に寄り添い、手を握るとしっかり握り返してくれた。
隣にいた綾子おばさんが言う。
「あさ美ちゃん。あなたが考えすぎて思い込んでしまっていただけで、あなたのお母さんはちゃんと生きてるのよ。みんなあなたが神経質になってしまって心配していたの。」
母が死んだなんてことは私一人の思い込みで
今までの悲しみは単なる悪夢だったのだと知る。