「うそ、何か不安そう。まだ慣れてなくてしんどいのか?」
どうして、
こんな日に限って
裕平くんは私の気持ちを読み取ってしまうんだろう。
本音を吐きたくなるよ。
そんな優しい顔をされたら、泣きたくなるよ。
『…大丈夫だよ。友達もできたし、楽しい…。』
私がそう答えると、裕平くんはそれ以上私の気持ちを見破ろうとはしなかった。
本当は辛かった。
怖かった。
また昔の私に戻ってしまいそうで…
あんなに頑張って勉強したのに、
裕平くんにもたくさん協力してもらって
綾子おばさんもいっぱい応援してくれた。
裕平くんに出会って、私はどんどん変わって
せっかく入りたかったA高に合格したのに
絵里の存在が気がかりで
高校生活は
楽しくなかった。