私たちの視線に気付いた絵里は
私の顔を見て、大きく目を見開いた。
一瞬、驚いた表情になった後
私たちの方に近づいてきた。
「あ〜ら、驚いた。あさ美ちゃんじゃん。久しぶり。」
絵里はそう言って、佳代と千春にも挨拶する。
絵里の笑顔から嫌味を感じとれるのは私だけ。
「なにー!あさ美知り合いだったの?」
「もう、早く言ってよ〜。」
そう言って私の肩を叩く佳代と千春は、絵里に話しかけられて嬉しそうだった。
私は無理に笑いを作ったが、顔が引きつっていたに違いない。
「これからよろしくね。」
席に戻る絵里に
佳代と千春は見惚れているようだった。
人は第一印象が大事って言うけれど、
みんなが絵里に近づきたいと思うのは、それとは違う気がした。
可愛さを武器に周りを支配できる絵里を羨ましい反面、妬ましく思う。
佳代と千春には、私にとって絵里が極力近づきたくない存在だということは
言えなかった。