清々しい4月の朝の空気は、新しい高校生活をスタートする私の背中を押してくれているようだ。
朝起きて、お母さんに挨拶をした私は
いつも通りに綾子おばさんと朝食をとり
新しい制服に身を包んで家を出た。
ブレザーのポケットには綾子おばさんからもらった携帯電話。
嬉しそうにストラップが顔を出して揺れている。
大好きな裕平くんからもらったストラップ。
私の宝物。
駅のホームで陸を見つけ声をかける。
『おはよ、陸。』
「お〜あさ美、おはよう。制服…似合ってんじゃん。」
陸が笑いかけてくれると昔から一緒にいる安心感なのか、新しい場所へ向かう緊張も少し和らぎホッとする。
『陸も似合ってるよ。てゆうか陸、背伸びたね〜』
私が背伸びして陸の髪をくしゃくしゃっと触ると、
陸は照れた様子で避ける。
「同じ高校で良かった。俺、嬉しいよ。」
陸は噛み締めるように微笑んで、
到着した電車に乗り込む。
私も一緒になって電車に乗り、
新しい場所へと向かった。