その時、店に入ってきたのは
裕平くん。
「あさ美ちゃん、合格おめでとう!」
『裕平くん……』
私が驚いて裕平くんを見ていると、
「私が呼んだのよ」っておばさんが言った。
「良かったね。」
裕平くんは初めて会った時のように私の隣の席を一つあけて
カウンターに座った。
『裕平くん、ありがとう。裕平くんに勉強教えてもらったおかげです。本当にありがとう。』
私が頭を下げると、裕平くんは遠慮がちに手を動かして笑った。
「それは、綾子さんからの合格祝い?」
裕平くんは私が手に握っている携帯電話を指差す。
『うん。』
「じゃあ、俺からも。はい。合格祝い。」
そっと差し出された小さな袋。
『え…?』
私は驚きながら
その丁寧にラッピングされた袋を開けた。
中には、
可愛らしいビーズであしらわれたストラップ。