午後からの入学説明会を受け終えた私と綾子おばさんは
喫茶店へ向かった。
今日は1日店を休業にしてくれた綾子おばさん。
誰もいない静かな店のカウンターに座った。
『…おばさん……ありがとう。』
「何が〜?」
おばさんは笑いながら暖かいミルクティーを入れてくれた。
『おばさんがいなかったら、私…ここまで頑張れなかっただろうから。』
「それはあさ美ちゃんの実力よ?おばさんは見守ってただけ。」
おとなしく笑うおばさんのその笑顔は、どことなく母に似ていた。
「あさ美ちゃん……おばさんね、この前政之さんの面会に行ったのよ。」
『え………………?』
おばさんが父に会いに行ったことを聞かされ、
母を殺した父への残酷な思いが込みあげた。
「政之さん………痩せていたわ。正気を取り戻したかのように優しく普通に話していたし、泣いていた。」