裕平くんの勉強の教え方は学校の先生よりも分かりやすいものだった。
「ここがxになるからyは…」
私のシャーペンを持ち、ノートに分かりやすく説明をしていく裕平くん。
私の苦手なところをすぐに見つけて解消へ導く。
説明を聞きながら、裕平くんの顔をチラっと見る。
長いまつげ
高い鼻
少し赤い唇
勉強を忘れて見惚れてしまいそうになる。
「で、こうなるの。オッケー?」
説明を終えた裕平くんと目が合う。
「あ〜今、なんか別のこと考えてたろ?」
裕平くんはニヤっと笑い、私のおでこを人差し指でツンとついた。
『ごめんなさい。』
私は前髪を触りながら笑う。
「疲れた?少し休憩するか。」
ソファーに深く座り、背伸びをする裕平くん。
大きな手だなあ。
裕平くんの一つ一つに私はひかれていく。
“好き”という感情は私の中に隙間なく広がり
裕平くんへの想いは募る一方だった。