それから私は充実した日々を過ごした。
かんなと弥生と話すのが楽しくて
それだけがただ楽しみで学校へ行った。
裕平くんとの予定がない時は放課後3人で勉強したり
おばさんの喫茶店で一人で勉強したりした。
裕平くんに勉強を教えてもらえる日は、
とくに気持ちがワクワクした。
―――
12月になり、冬休みが近づいていた。
カウンターで裕平くんを待っている私を見て綾子おばさんはクスっと笑う。
『え、なに?』
「いや〜なんか、あさ美ちゃんニヤニヤしてるから。」
『ええ?ニヤニヤなんかしてないよぉ。』
私は火照る顔を手でさりげなく隠す。
「最近……ちょっと化粧してるでしょ?」
おばさんは上目遣いで私を探る。
私が黙りこむと
「恋してるのねぇ。」
と、微笑みながら呟いた。
恋か……
この、不思議なくらいドキドキして
小さなことが楽しくなる
この気持ちが
恋なんだね。