なんだか楽しみになってきた。
暗い気持ちばかりの昔の私は、もう影すら残さずいなくなっていた。
教室に入ると、
かんなが駆け寄ってきてくれた。
「おはよう、あさ美。」
『おはよう。弥生は?』
「まだ。弥生は遅刻魔だから。」
かんなの呆れた笑顔。
こんなに素敵な朝があっただろうか。
いつも何かに怯えていた私。
ずっと、怖がりだった弱気な私。
人は恋をすると、
こんなにも明るくなれるんだ…。
無意識のうちに、今まで自分が心のどこかで必要としていたものを掴みとっていた。
この小さな平凡を
“幸せ”と呼ぶのなら
確かに私は今幸せだ。
窓側から
冷気が漂っていて、椅子に座ると冷たくて身体が縮まった。