絵里ちゃんの家はお金持ちで、お父さんは大きな病院の院長だと聞いた。
絵里ちゃんには有名大学の医学部に通う優秀なお兄さんがいるらしく、
「お兄ちゃんがうちの病院の後継者なのよ!」
と、微笑ましく話していた。
私なんかとは別世界の人だ。
私は相変わらず気弱で、周りを笑わせたり空気を和ませたりすることができなかったけど、
絵里ちゃんのおかげで一人ではなくなった。
絵里ちゃんと違い、私の家は裕福ではない。
着る服や、食べるもの、身につけているものも
全てが絵里ちゃんより劣っているだろう。
それでも、絵里ちゃんが躊躇いなく接してくれることが嬉しかった。
これから、変わっていける気がした。
少しのことを、頑張ろうと思えた。
些細なことで自然と笑みがこぼれた。
考えもしなかった。
大城 絵里との出会いで
私の人生が地獄へ転落していってしまうなんて。