そのまま陸とわかれて、私は首をかしげた。
喫茶店に入ると
裕平くんがもうカウンターに座って待ってくれていた。
『ごめん……遅くなって。』
「いや、今きたとこだから。宿題やった?」
『うん。ちゃんとやった。』
裕平はにっこり笑って私の頭を撫でた。
ほんの一瞬、触れるか触れないかってくらいに。
なぜか、
今まで味わったことのない緊張が押し寄せた。
え…………?なに…?
この……
ドキドキってするものは…。
綾子おばさんは私たち2人を見て、口角をあげて微笑んだ。
奥のソファーのテーブルでたっぷり勉強した後、
また家まで裕平くんに送ってもらうことになった。
「寒ー!もう冬だなあ。」
黒のジャケットに身を包んで白い息を吐く裕平くん。
『いつもごめんね。勉強教えてもらってるのに、送ってまで…』
「いいのいいの。俺、できるだけ家に居たくないから。」
横目で背の高い裕平くんを見上げると、
目が合って
またドキっとした。