骨だけになった母は
それだけでは母だと思えなかった。
私も一緒に焼かれたかった。
母との別れの一部始終が脳裏にしぶとく残り
もう何も考えられなかった。
夢から覚めたい
これが夢なら
これが夢なら
『お母さん、今日すごく怖い夢を見たんだ。本当に怖かった。もう二度とあんな夢見たくないよ。』
なんて、
笑って母に話しただろう。
悲しいことに
母が父に殺されたことも
私が血だらけの死体を見たことも
母がもう喋りもしない、笑いもしない、動きもしない、白い骨になったことも
全て
全て現実なんだ。
火葬場から帰ると、
時計は夜の7時を迎えようとしていた。
私は自分の荷物を鞄につめる。
これから私が住む
綾子おばさんの家に行くからだ。
インターホンが鳴り、陸が手伝いに来てくれた。