「あさ美ちゃん。」
後ろから名前を呼ばれて、濡れた顔で振り返る。
そこには綾子おばさんが立っていた。
「明日はお葬式だから、もう寝なさい。」
優しく私の肩に手を置いた綾子おばさんの目元は
一目で分かるくらい腫れていた。
綾子おばさんが私の涙に触れる。
「辛いね。おばさんも姉ちゃんとはずっと仲良しだったから……辛い。」
きっと綾子おばさんも私と同じなのだろう。
泣いても泣いても涙は尽きない。
「あさ美ちゃん、これからおばさんの家で一緒に暮らそう?」
『え…?』
私がおばさんの方へ顔をあげると
おばさんは涙を流しながら微笑んでくれた。
「今までよりはちょっと学校に通うのが遠くなるけど、まだあさ美ちゃんは中学生だし……高校にもちゃんと行くの。
おばさんは店があるから、少し寂しい思いをさせちゃうかもしれないけど、夜はちゃんと家にいるから。」