警察が家の中を調べ、
慌ただしい夜半だった。
一睡も出来ないまま
私も警察の人に詳しく事情を聞かれた。
次の日の朝、
駆け付けてくれたのは
陸と、陸のおばさん
それから母の妹にあたる綾子おばさんだった。
母の死体を見つめ、小さく座っている私を
部屋に入ってきた陸は強く抱きしめた。
「あさ美!!」
友達なんて家に連れてきたことがない私は
陸だけが唯一、母が知ってる友達だった。
「あさ美ちゃん、怖かったでしょう。」
そう言って、涙ぐみながら私の隣に座ったのは陸のおばさん。
私を抱きしめている陸の心臓の音が耳に届く。
ああ、
人間は本来こうして生きているのだ、と強く思う。
母はまるで死んでいるとは思えないくらい、美しい顔だった。
今にも目を開けそうだ。
そしたらどんなにいいだろう。
これが夢なら。