「あさ美。自分のペースでゆっくり頑張っていけばいいからね。」
『…お母さん……』
ありがとう
ありがとう
溢れそうになる涙を必死にこらえながら
林檎を食べた。
私は知っていたんだ。
今でも父がよく酒を飲んで暴れること。
というか、私が不登校になってからは特に、ずっとそうだった。
私のせいで、
母は毎日辛い思いをしている。
一度、私がリビングに行くとガラスのコップが飛んできたことがあった。
「危ない!!あさ美、自分の部屋に行ってなさい。」
『…でもっ…』
「いいから!!」
そう言ってリビングの扉を閉めた母の気持ちを
私はどうしてもっと
分かち合おうとしなかったんだろう。
こんなにも私を支えてくれているのに。
見守ってくれているのに。
私は、
結局自分のことしか考えていなかった。