人生
それはまだ少ししかこの世界を知らない私にとって
そこは真っ暗な空間だった
私はただ一人
暗闇の中を彷徨って
居場所を求めていた
光を目指していた
どうしてこの世は
こんなにも不公平に
溢れているのだろう
だけどどうしてこの世は
こんなにも愛が満ちているのだろう
居場所を見つけた
光を見つけた
私はもう一人ではなかった
そこはもう
暗闇ではなかった。
町を眺めながら春の澄んだ空気を吸い込み陸の手を握った。
空に浮かぶ雲はキャンバスに書いた絵のようで
今にも掴めてしまえそうだった。
繋いだ手の中に、母のぬくもりを感じた。
【完】