「あさ美、陸くんが来てくれたわよ。」
部屋のドアをノックする音がして、
廊下から母の少し高い声が聞こえてきた。
私はすぐにベッドから起き上がり、ドアを開けた。
そこには
小さな母の隣に
背の高い陸の笑顔。
「よっ!元気か?」
陸は明るく私に挨拶する。
「陸くん、ゆっくりしていってね。」
「ありがとう、おばさん。」
陸が部屋に入り、母がリビングへ向かう足音が聞こえた。
「お前ちゃんと光合成してんのかあ?まじ不健康な肌してる。」
陸はさっきまで私が寝転んでいたベッドに座り
クッションを抱いている。
『私は植物じゃないよ。』
私が机の椅子に座りそう答えると
陸は穏やかに微笑んだ。
「思ったより元気そうでよかったよ。」
陸はこうしてたまに
学校帰りにうちにくる。
たわいもない話をしてすぐに帰るのだが、
不登校の私を心配しているのがわかる。
私も幼なじみの陸だけには、
なぜか素直に接することができた。