「俺、あさ美の中におばさんは生きていると思うよ。」





私が感じたことと同じことを陸は口に出した。



今あるこの平凡な日々や穏やかな時間は

決して私の力だけで生み出せたものではない。






たくさん泣いてたくさん辛い日々を歩きまわった私に母がくれた贈り物なのだと知る。











あさ美がいないと俺の人生はあり得ない。俺は小さい時から誰よりも近くであさ美を見てきたから、誰よりもあさ美のことを思ってる自信がある。



陸は私にそう言ったね。
私の人生にだって、陸は居なくてはならない存在なんだ。



ずっと近くいて気づけなかったことを母が教えてくれたのかもしれない。


もちろん裕平くんに出会い、初めての恋をしたことも無駄だったとは思わない。


素敵な出会いだった。

素敵な初恋だった。



変わっていく自分をどんどん好きになれた。


私は、色んなことを淡く過ぎ行く時間の中で知った。

知ったというより、知ろうとしていた。