「実は…あさ美に告白しようって決めた日の晩、夢を見たんだ。」



『…夢…?』




陸は頷き、話を続ける。


「あさ美のおばさんが出てきた。」

『お母さんが…!?』



「うん。それで俺、あさ美のこと頼まれたんだ。
あさ美には生きてほしい、幸せになってほしい、
何もしてあげられないまま死んでしまったから…どうかあさ美のそばに居てあげてって。おばさんが俺の手を握ってそう言ったんだ。」






うそ………うそでしょ…?

お母さん……




いつか私の夢にも出てきたよね。

夢の中では生きていて

私の手を握って言った。
ずっと一緒だって…。






「目が覚めたとき、おばさんに握られていた手にぬくもりが残ってて…
ただの夢じゃない気がしたんだ。」




『陸………それ本当なの?』





「ああ、本当だよ。」





私は思った。

あの時屋上から飛び降りた私の命は母が救ってくれたのだと。






負けるな、

生きるんだあさ美。






私はずっと
あさ美の中に生きているから。