1時間ほどゆっくりした後、私と陸は喫茶店を出た。




出てすぐの坂道を上がると、町の景色がよく見える。私が入院していた病院も、昨日陸と星を見た小さな公園も。




「なぁ、あさ美。」

『なに?』



そんな町の景色を眺め立ち止まる私に陸は話し始める。






「俺があさ美に告白した時のこと、覚えてる?」





『…なによいきなり。当たり前じゃん、覚えてるよ。』




あれは、
私が屋上から飛び降り生きる気力をなくしていた時のことだった。



その時の私の願いは虚しく、命を残した私はただ痛みをあげる傷を負った。

目を覚ました私に、陸と綾子おばさんは涙を流してくれたね。






あの希望のないどん底から救い出してくれるような愛の言葉を、陸はくれたんだ。





私は

真っ直ぐな陸の想いを伝えられただけで

自分も陸を同じほど想っているような気がした。