「あさ美はさ、将来なりたいものとかあんの?」
『なぁに?…いきなり。』
「いや、なんとなく。夢とかあんのかな?って思って。」
陸は私の歩幅に合わせ、ゆっくり歩く。
『ん〜まだわかんないけど…。どんな大人になったとしても私のお母さんみたいなお母さんになって、幸せな家庭を築くんだ。それだけは絶対。』
「そっか………幸せな家庭、築こうな。」
そんなつもりで言ったわけじゃなかったので陸の優しい返事にビックリした。
『陸…?…私たちまだ高校生だよ?』
私がそう言うと陸は大きく笑った。
「ははっ。分かってるよ。もっと先の話だって。」
私は顔を緩めながら頷いた。
だってさ、
なんか結婚を間近にしたカップルの会話みたいだったから。
「あさ美ならきっと、おばさんみたいに素敵なお母さんになれるよ。」
陸は笑いのあとに付け加えた。