曲がり角に差し掛かり
私と陸は綾子おばさんの喫茶店に寄ることにした。
カランカラン。
――――――!
おばさんに元気よく声をかける前に目に入ってきたのはカウンターに座る裕平くんの姿だった。
「あさ美ちゃん………久しぶりだね。陸くんも。」
裕平くんにを見たのは久々だった。
お見舞いに来てくれた日以来。
「こんにちは。」
私が何も言えずにいると、陸は裕平くんに挨拶をして繋いでいた手を離した。
そういえば陸、
だいぶ前に喫茶店に来た時、裕平くんに会ったって言ってたね。
私が前に裕平くんを好きだったことも
絵里の婚約者と知って諦めたことも
陸は知っている。
今は何も気持ちがなくても、なぜか陸に悪い気がして複雑な気持ちになった。
陸はきっと私の顔色を見て気を遣ってる。