6年生になったばかりのある日の帰り道
その日は下靴を隠されて、裸足で帰っていた。
「あさ美ーっ!」
後ろから元気よく走ってきたのは
ずいぶんと背が伸びた、陸。
陸とは、ずっとクラスが離れているため
話すのもたまに会った時だけだった。
「あれ、お前靴は??」
私の汚れた足元を見て
陸は不思議そうに言う。
『……なくした…。』
私がそれだけ呟いて早歩きしようとしたら、
陸も同じ速さで隣にひっついてくる。
「なくしたあ?どこで??」
『どこでもいいじゃん。』
私は冷めた顔で答えた。
陸と同じクラスじゃなくてよかった。
陸があの教室にいたら、私が絵里たちからイジメられているのがすぐに分かってしまう。
陸は幼なじみだから私の両親とも顔見知りで、
きっと報告されてしまう。