「久しぶりだね。」
その時、奥から現れたのは
私の大好きな人
裕平くんだった。
「心配してたんだよ。最近全然会わなかったから………あ、メール見た?」
私は頑張って平常心を保ちながらコクリと頷いた。
「元気だった?どう?高校は楽しい?」
私は裕平くんの質問に答えられず、適当に笑いを流した。
そして
『裕平くん、婚約者いるんだね。』
私が言うと、裕平くんは驚いていた。
「なんで知って………」
『うちの高校じゃ有名だよ、裕平くんの彼女。だからこの前、門のところに車で迎えにきてたんだね。』
絵里のお父さんが院長を務める大城病院には
もうすぐ新病棟が新設される。
絵里のお兄さんがそのトップに立ち、親子で病院を営んでいくのだ。
その建設を手掛けたのが裕平くんの家の会社、立花建設。
絵里の両親と裕平くんの両親はとても仲が良く
2人はいわゆる“いいなずけ”らしい。