辺りが薄暗くなってきた頃、私は陸とわかれて喫茶店へ向かった。
陸に支えられながら、たくさん泣いた。
だから私
ちゃんと自分の気持ちにセーブをかけたかったんだ。
私はやっぱり怖がり。
絵里のことを考えると、これ以上裕平くんを好きになれない。
私は初恋に終わりを告げるために、
喫茶店へ向かっていた。
静かに。
伝えることもなく、
そっと私の胸の中で終わるために。
カランカラン。
「あら、あさ美ちゃん。」
毎日家で顔を合わせる綾子おばさんは、無理に元気に振る舞う私に気づいていたかもしれない。
毎日のように、放課後寄っていた喫茶店に
急に寄らなくなったのは
裕平くんへの恋心が理由だってことも。
『…なんか今日は久々に寄りたくなって…』
久しぶりにカウンターに座った。