“最近会ってないけど元気してるの?綾子さんから聞いたけどあんまり喫茶店に来てないみたいだね。また気が向いたらゆっくり話でもしよう!”
裕平くんは受験勉強を教えていた私に妹扱いで、こんなメールを送ってきたんだと思う。
でもね、裕平くん。
裕平くんは絵里と婚約してるじゃん。
無理だよ。会いたいけどもう会えない。
私にとっては裕平くんからのメールの一文字一文字が嬉しくて、辛いんだよ…。
何も知らずに勉強を教えてもらっていた時は
本当に楽しかった。
隣にいる裕平くんがすごく大人に感じて
だけど同じ時間を過ごせていることが嬉しくて
初めて恋というものを知ったんだ。
居場所を見つけた。
変わっていく自分が嬉しかった。
私は、まだ何もしていないまま静かに失恋を迎えたんだ。
悲しくて
寂しくて
涙が溢れた。