「悪いけど、裕平は私の婚約者なの。邪魔しないで。裕平に手出したら許さないからね。」
惨めだった。
偉大な両親を持つ2人とは
世界が違う私、
ただ悔しくて恥ずかしかった。
私が何も言い返せないでいると
「もうあの時みたいに私のもの盗まないでね?」
嘲笑うように言った絵里の言葉にユキとナギサは反応する。
「あの時ってなに??」
「あさ美ね、小学校の時にわざわざ仮病使って体育の時間に教室に戻ってね、私のマフラー盗もうとしたの。」
平気な顔をして語る絵里。
「まじで?……こわっ」
「人のもの盗っちゃダメだよね〜。」
私が3人に言われっぱなしで笑われていると
区切るように
授業が始まるチャイムが鳴った。
絵里は勝ち誇った顔で席に戻った。
小学校の時と同じ
本性見せたな
貧乏人
そう目で訴えながら。