昨日大きな声で婚約者の話をしていた絵里。




その話が聞こえなかった人なんていない。




「うっそぉ…私たちが話してるの聞いて狙ってたんじゃないの?」


ユキが口を押さえて、私を軽蔑するような目で見た。



『…私は……昨日知り合いの人と話してただけだよ?』




「知り合い??」


絵里は不機嫌そうにその整った顔を歪める。



『もしかしてその人って立花裕平くんじゃない?私………裕平くんとは知り合いで……』




私がそう言うと絵里は信じられないという顔をして驚いていた。



「最悪。よりによって裕平があさ美と知り合いなんて。」





私はどうしていいかわからなくて、

ただショック黙っていた。



絵里の婚約者が裕平くんだったなんて…。



するとしばらくして絵里は見下すように笑って言った。

「その顔は、裕平のことが好きだったみたいね。」





そしてその笑みを今度は怖い目つきに変えた。