「なんかあさ美ちゃんがA高に通ってるの見たら、改めて嬉しくなるよ。勉強教えた甲斐があったね。」
裕平くんはいつものように笑って話すけど、
目の前にいるのは喫茶店で会う裕平くんとは違うような…
違う世界の人って感じがした。
高級車のせいだろう、と思いながら
私は裕平くんに微笑み返す。
一体誰を待っているのか気になったまま、
私は裕平くんに手を振り、帰ることにした。
胸の中でモヤモヤしたものは、次の日
しっかり証されることとなる。
私はまだ知らなかった。
暗闇が続くこの道で
灯されようとした小さな光さえ
消されてしまうということを。