私はただ黙ってそれを聞いているだけだった。
金持ち?親公認?
婚約者?
意味がわかんない。
だってそれは絵里自身が自分の力で掴んだものじゃないから。
そんなものを大きな声で自慢する気持ちがわからなかった。
放課後、
今日も裕平くんに会えることを願って
喫茶店へ向かうため門を出た。
するとそこには
一台の高級車が止まっていて
その車にもたれるように立ち、誰かを待っている…………………
……裕平くん…………?
『裕平くん!?』
近づいていくと、それはより確実なものとなり私の目に映る。
「おお、あさ美ちゃん!」
『何してるの??こんなところで……しかもこの車…………裕平くんの?』
私が不思議そうに裕平くんを見ていると
「うん、俺ん家の車。ちょっと人を待ってるんだ。」
裕平くんはそう言った。