「感想言って良いかな?」
「はい」
「...スゴく綺麗な曲で、ファンに寄り添ってる良い歌詞だなって思ったよ。Reiさんが思う僕ってこういう存在なんだね」
「カナトは悲しくて蹲っている人の傍に寄り添ってくれると思いました。それは今までの人生で喜びだけじゃなく、悲しいコトも沢山あったからだと思ったんです」
「...そっか...」
嬉しそうに笑うカナト。もう一度歌詞を見るその瞳はとても優しかった。
「必至に笑顔を作ってる人間に見えたんだね」
「...ファンの前でカナトは笑顔でいてくれます。でもカナトは人が弱いコトも淋しい存在であるコトも分かってると思います」
誰かがマイナスだと思っている部分も受け止めてくれる人。悲しんでいる私を優しく受け止めてくれた人。そんな存在のカナトは人の悲しさをちゃんと分かってくれる人だと思った。
「...うん」
「カナトにも淋しい部分はあると思います。悲しいと思う日もあると思います。それでもファンの前に居る時は絶対に笑顔で居てくれてるんですよね」
カナトは黙って私の方を見る。
「私達の為にどんなコトがあっても笑顔で居てくれてる。たとえ悲しくても、苦しくても、笑顔で居てくれてる。そんな人だと思いました」
「...そっか...うん...」
カナトは何か思うコトがあるようだった。
そして数分考えた後、口を開く。
「ごめん。僕はこの歌詞では歌えない。Reiさんが分かってくれた僕の部分はファンの皆には伝わらないでいてほしい部分なんだ。だから違う歌詞にしてもらえたら嬉しいかな」
ダメだった...。私はカナトから歌詞を書いた紙を受け取る。
「分かりました。では別の歌詞を書かせて頂きます。その前に1つだけ質問しても良いですか?」
「うん。なぁに?」