ライブの次の日、私は家から歩いて20分程で着く高台に向かっていた。街を見下ろせるその場所は私のお気に入りだった。
ライブの光景を思い出しながら、階段を登っていく。
「楽しかったなぁ...」
空を見上げながら、そう呟く。
階段を登りきった所で人の気配がした。
そこにはダンスをしているフードを被った人が居た。
「あれ...そのダンス...」
見覚えがあった。私はそのダンスを昨日見たばかりだった。
「えっ...」
ダンスをしていた人が振り返り、私と目が合う。
「えっ!?」
そこに居たのは昨日ステージの上に居たハルカだった。
「ハ...ハル...」
「わー!!」
ハルカが私の口を手で抑えてきた。
「って此処は滅多に人来ないから大丈夫か」
そう呟き、私の口から手を離す。
「な、なんでここに...」
目の前に現れたアイドルに動揺が隠せない。
「えーっと...たまたまかな。でも俺がここに居たってのはSNSとかでも言わないで欲しいな」
「も、もちろん!誰にも言いません!」
「ありがとう。君、俺のファン?」
「あ、いえ、カナトのファンです。...あっ」
つい言ってしまったが、本人を目の前にして相方のファンだとズバッと言ってしまったのは失礼かと思った。
しかしそんな私の心配とは裏腹にハルカは満面の笑みになっていた。
「カナトのファンなのか!良い趣味してんじゃん!やっぱ良いよなぁ〜カナト」
誇らしげに言うハルカ。ライブや放送でカナトを褒めている姿は度々見る。しかしプライベートでカメラも回ってなければ、ファンも私1人しかいないこの状況でもカナトを褒めるハルカに少し驚いた。
「はい!私が1番カナトのコトを好きな自信あります!」
胸を張って堂々と言う私。ずっと追いかけてきた。ずっと好きだった。私が一番好きだという自信がある。
「いや、カナトのコトが1番好きなのは1番近くであいつを見てる俺だね」
私の言葉を真っ向否定するハルカ。確かに1番近くに居るのはハルカだ。それでもこの気持ちの大きさで負けたくなかった。
「た、確かにハルカの方が私の知らないカナトを沢山知ってるだろうし、私がカナトに会える時間よりも何倍も多い時間会ってます。それでも大好きな気持ちだけは負けません!」
「いーや、俺の方が勝ってるね。この世界中にいるカナトファンの誰よりも俺の方があいつのコト好きだから」
恥ずかしげもなく好きと言うハルカ。ハルカナの仲の良さに悶えそうになりつつ、自分の気持ちも負けたくないという気持ちが出る。
「ファンの気持ちはとんでもなく大きいんですよ!それはファンの想いを受け取ってるハルカ自身が1番分かるんじゃないんですか!?」
「うん。分かるよ。スゴく有難いと思ってる」
今日話していた中で1番優しい顔をした。それを見て思わず胸が高鳴る。
「でも、俺もカナトのファンだから」
「え?」
小さく、ボソッと言われた言葉が聞こえず、私は聞き返す。
しかしハルカはニカっと笑って私の頭をグシャグシャにしてきた。
「とにかく!俺が1番なんだよ」
「な、何するんですか!!」
「ははっ。おもしれー顔。てか、俺もカナトと同じく人気のアイドルなんだけど。お前話しててドキドキしたりしないの?」
「あー、最初はドキドキしそうになったんですけど、カナトへの気持ち話してたらファン同士で話してる感覚に近くなっちゃって...」
「なるほどね。俺と話したいファンも山程いる中で、普通に話できてるの貴重だと思えよ?」
「まぁそれは勿論」
「...全然貴重だと思ってねぇ顔だな」
「いや!貴重だと思ってますよ?ただ、なんかスゴく話しやすくて...」
「ふーん。まぁ俺もアイドル顔するよりも、こうやって気楽に話せた方が良かったから助かったよ」
昨日ステージの上に居た人と、今何気ない会話をしている今をとても不思議に感じていた。
ライブの光景を思い出しながら、階段を登っていく。
「楽しかったなぁ...」
空を見上げながら、そう呟く。
階段を登りきった所で人の気配がした。
そこにはダンスをしているフードを被った人が居た。
「あれ...そのダンス...」
見覚えがあった。私はそのダンスを昨日見たばかりだった。
「えっ...」
ダンスをしていた人が振り返り、私と目が合う。
「えっ!?」
そこに居たのは昨日ステージの上に居たハルカだった。
「ハ...ハル...」
「わー!!」
ハルカが私の口を手で抑えてきた。
「って此処は滅多に人来ないから大丈夫か」
そう呟き、私の口から手を離す。
「な、なんでここに...」
目の前に現れたアイドルに動揺が隠せない。
「えーっと...たまたまかな。でも俺がここに居たってのはSNSとかでも言わないで欲しいな」
「も、もちろん!誰にも言いません!」
「ありがとう。君、俺のファン?」
「あ、いえ、カナトのファンです。...あっ」
つい言ってしまったが、本人を目の前にして相方のファンだとズバッと言ってしまったのは失礼かと思った。
しかしそんな私の心配とは裏腹にハルカは満面の笑みになっていた。
「カナトのファンなのか!良い趣味してんじゃん!やっぱ良いよなぁ〜カナト」
誇らしげに言うハルカ。ライブや放送でカナトを褒めている姿は度々見る。しかしプライベートでカメラも回ってなければ、ファンも私1人しかいないこの状況でもカナトを褒めるハルカに少し驚いた。
「はい!私が1番カナトのコトを好きな自信あります!」
胸を張って堂々と言う私。ずっと追いかけてきた。ずっと好きだった。私が一番好きだという自信がある。
「いや、カナトのコトが1番好きなのは1番近くであいつを見てる俺だね」
私の言葉を真っ向否定するハルカ。確かに1番近くに居るのはハルカだ。それでもこの気持ちの大きさで負けたくなかった。
「た、確かにハルカの方が私の知らないカナトを沢山知ってるだろうし、私がカナトに会える時間よりも何倍も多い時間会ってます。それでも大好きな気持ちだけは負けません!」
「いーや、俺の方が勝ってるね。この世界中にいるカナトファンの誰よりも俺の方があいつのコト好きだから」
恥ずかしげもなく好きと言うハルカ。ハルカナの仲の良さに悶えそうになりつつ、自分の気持ちも負けたくないという気持ちが出る。
「ファンの気持ちはとんでもなく大きいんですよ!それはファンの想いを受け取ってるハルカ自身が1番分かるんじゃないんですか!?」
「うん。分かるよ。スゴく有難いと思ってる」
今日話していた中で1番優しい顔をした。それを見て思わず胸が高鳴る。
「でも、俺もカナトのファンだから」
「え?」
小さく、ボソッと言われた言葉が聞こえず、私は聞き返す。
しかしハルカはニカっと笑って私の頭をグシャグシャにしてきた。
「とにかく!俺が1番なんだよ」
「な、何するんですか!!」
「ははっ。おもしれー顔。てか、俺もカナトと同じく人気のアイドルなんだけど。お前話しててドキドキしたりしないの?」
「あー、最初はドキドキしそうになったんですけど、カナトへの気持ち話してたらファン同士で話してる感覚に近くなっちゃって...」
「なるほどね。俺と話したいファンも山程いる中で、普通に話できてるの貴重だと思えよ?」
「まぁそれは勿論」
「...全然貴重だと思ってねぇ顔だな」
「いや!貴重だと思ってますよ?ただ、なんかスゴく話しやすくて...」
「ふーん。まぁ俺もアイドル顔するよりも、こうやって気楽に話せた方が良かったから助かったよ」
昨日ステージの上に居た人と、今何気ない会話をしている今をとても不思議に感じていた。