「お悔やみ申し上げます」
そんな言葉が聞こえてくる。私は何も喋るコトが出来ずに立ち尽くしている。
買い物をする為に出掛けた父は飲酒運転した車とぶつかり、帰らぬ人となった。
家族がいる当たり前の日々を、事故は一瞬で私から奪った。

葬式が描かれている場面で見たコトのある花が実際に並んでいる。
真ん中には父の写真。
にこやかな父の写真は決して動くコトはなかった。
ねぇ、何してるの?
お腹すいたよ。ご飯を食べよう。
前に旅行したいって言ってたよね。いつ行こうか。
ねぇ、ねぇ...。
棺に入っている父に声を掛けたかった。
それなのに私は声を出すコトが出来なかった。