「曲作りは楽しいか?」
父にそう聞かれ、私は笑顔で答えた。
「うん!楽しいよ」
「それなら良かった。玲那の曲聴いてみたいな」
「そ、それはダメ...」
自分の本音で書いた曲を父に聴かせるのは躊躇われた。
「そっか。でもいつか聴かせても良いかなって思った時は聴かせて欲しいな」
父の思いに今は応えられない。それでもいつか応えたいと思った。
「うん。いつかね」
「玲那の曲が聴けるの楽しみだな」
お父さんは本当に優しい顔でそう告げる。
いつか私の本音を聞かせても良いと思えた時に聴いてもらおう。それまでずっと曲を作り続けよう。
そう思っていた。