日々はあっという間に過ぎ、握手会当日が訪れた。
ドキドキを感じながら会場に入った私は、自分の番号の席に座る。前を見ると長机と椅子が2つ。もう少しでそこにハルカナの2人が座ると思うと鼓動が早くなる。
大丈夫。シミュレーションは1ヶ月間ずっとしてきた。
心の中で何度もそう言い、心を落ち着かせようとする。それでも緊張がなくなるコトはないまま、握手会が始まる時間となった。
「こんにちわー」
手を振りながらそう言ってハルカナの2人は登場した。推しの登場に笑みが溢れる。
「今日は来てくれてありがとう」
「皆応募して来てくれたんだよな。ありがとな」
「初めての握手会だから応募が来るか不安だったよね」
「まぁな。でも予想以上に沢山の人が応募してくれたから、今ここに来れた皆は運が良い人の集まりってコトだな」
実際どれ程の応募があったかは分からないが、当選したコトはどうやら奇跡らしい。私はニヤケが止まらなくなる。
「それではこれから握手会を始めていきます。時間は限られてるからスタッフさんが終わりですって言ったら移動してね」
「駄々こねて困らせたりするなよ!」
私たちは大丈夫だよと伝えるように大きく頷く。
「それじゃあ始めていきます」
そう言ってハルカナの2人が席に座る。
スタッフがパーテーションを用意し終えた所で握手会が始まった。整理番号1番の人が立ち上がり、パーテーションの中に入っていく。今握手会が行われているのだろう。
私の番号は73番。緊張や楽しみな気持ちでドキドキが大きくなる。