その人の歌声を聴いたら自然と涙が溢れた。
静かに泣いている私を見て、彼は驚いた顔をした後優しく笑った。

「良かったら僕の歌を聴いていってください。今ここにいるのは君だけだから、君の為に歌うよ」
温かい声でそう言ってくれた。
「...はい」
そうして彼は私の為に歌い続けてくれた。

歌い終わった後、彼は手を差し出す。
「カナトっていいます。君が何処にいても僕の歌声が届くように頑張るね」
私は彼の手を握り返し、笑顔で答える。
「ありがとう。応援してます」
私の言葉に彼も笑顔になってくれた。

その時聴いた歌声、彼の笑顔、そして手の温もりはずっと忘れるコトはないだろう...。