玲香は言い返せない。
しどろもどろになって、視線を彷徨わせている。

その様子はカンニングを肯定しているようなものだった。
早く言い返さないと早く否定しないとと思えば思うほど、玲香は焦ってなにも言えなくなってしまう。
その顔は赤くなったり、青くなったりを繰り返した。


「ほんと最低! そんなので進学できると思ってるの?」

「洋子にとってお荷物なだけじゃん!」

「おいおい、なに言ってんだよお前ら!」


玲香の取り巻きが咄嗟にかばいに入る。
けれど彼らも玲香の見た目に引き寄せられているだけで、勉強についてはなにも知らないんだろう。


「デタラメ言うなよ!」

「玲香ちゃんがそんなことするわけないだろ!」