浩二はおばちゃんが作ったクッキーを私が作っていると信じ込んで美味しそうに食べている。
その純粋そのものの表情を見ていると少しだけ胸が痛むけれど、それもすぐに消えていった。

なんていっても浩二のお見舞いに来てくれる女子生徒は私しかいないんだ。
交際を初めてから毎日のようにお見舞いへ来ていると、それが本当であるとわかってくる。

この病室で見かけるのはサッカー部の部員か、両親かのどちらかだけだった。
だから、私がここに来ているだけで浩二は救われているはずだ。

クッキーの嘘なんて大した嘘じゃない。


「明日は豊も一緒に来るって」

明日は日曜日だ。
今日の放課後豊と時間を合わせて日曜日にお見舞いに来ることになっていた。


「そっか。あいつ部活に復帰してからどう?」

「調子いいみたいだよ? これ、今日の部活風景」