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残念ながらC組に知り合いはいなくて谷岡くんについて質問できる相手はいなかった。
私達は開け放たれている廊下側の窓からその姿を確認するだけだ。


「後ろの席にいる。あの人だよ」


目当ての人は教室の一番うしろの席で友人3人と会話をしていた。
そのたのしそうな笑い声は廊下まで聞こえてくる。


「へぇ、結構かっこいいじゃん」


詩子が目を輝かせる。

「性格も優しいから、女子生徒に人気があったよ」

「ってことは、ふたりとも元々ライバルは多かったんだ?」

「たぶんね? 中学時代の谷岡くんがどんな人だったのか知らないけど、人気はあったんじゃないかなぁ?」


谷岡くんは友人らとスマホを取り出して動画を見ているようで、かなり盛り上がっている。
お調子者の友人がその場で踊り始めて、それを見て大きく口を開けて笑っている。


「明るい人みたいだし、人気があるのは納得かも」


詩子はその様子に何度も頷いて呟いた。
優しくて明るい性格の谷岡くんのまわりには沢山の友人が集まってきている。

同性からも人気があるみたいだ。


「うちのクラスになにか用事?」