柊くんはタブレットを手に取り、画像を手早く編集し始めた。

いつ撮影していたのか、切り立ての薔薇がしだいにドライフラワーになっていく様子を捉えた動画を用意していた。

それを何倍速かで再生すると、如何にも薔薇が1晩で枯れた動画ができあがってしまった。

柊くんが実際に何倍速で再生したのかは、判らなかったのだけれど。

「おーーっ!!」

わたしたちが歓声を上げ、盛り上がったのは言うまでもない。

「これで1晩で枯れた薔薇ができあがる……園芸部の部員が見た鉢植えのドライフラワーは、ドライフラワーを鉢に挿したものだったんだろう」

園芸部から持ち帰った画像には、グリセリン、筆、カラーインク、脱色用のエタノールが映ったものもある。

「園芸部には撮影技術と合成技術に長けた奴がいる。ドライフラワー作りも俺たちが付け焼き刃で作ったものとは、出来が違うようだ。作り慣れている」