重ねている唇が、私の頰を包むアミルの手が、ただ熱くて、溶けてしまいそうだった。体の震えや恐怖はいつの間にか消えていってしまう。

警察官は「何だ、ただのバカップルか」と言いたげな目を向けながら歩いて行った。もう怖くはない。だけど……。

「アミル、その、さっきのキスは……」

好きでもない女性と男性はキスできるものなの?そう疑問に思い、顔を真っ赤にしながら呟く。顔を上げれば、アミルの顔も赤くなっていた。

「その……俺……美砂のことが……好きだ」

消えてしまいそうな声だったけど、この耳にその言葉はちゃんと届いていた。まさか恋人ができてしまうなんて!嬉しくて、舞い上がってしまいそうになる。

「私も、アミルが好きだよ」

私もきちんと自分の気持ちを伝えると、もう一度唇を奪われてしまった。



「よく一緒に遊ぶ友人」から「恋人」に関係が変化したデートは、いつも以上に楽しくて、でも緊張してしまった。自分のメイクや言動が変だと思われないか、少しのことで不安になってしまう。