今年度の新入生から一人、生徒会に入った。

初めて見たとき、ほんとにこの生徒を真紘が選んだのか疑ってしまった。

凛空よりも小柄な身体。顔は女顔のようで、一瞬女性かと疑うほど。どう見ても頼りなさそうな見た目に、おどおどとした態度。

―――真紘は、選ぶ目が腐ったのか?

でもそんなことはなかった。



「隼人さん!」



隼人さん。出会った初日にそう呼んでくる奴は今までいなかった。

だいたいは佐伯先輩、隼人先輩、隼人様。例外として真紘からの呼び捨てと、凛空からのはやちゃん呼び。

もはや教員や校長までも権力を持ち、崇め称えられてる生徒会の人間を、こんな風に呼ぶとは。

―――面白い。

この空野優という奴に興味が湧いてきた。



「隼人さん!予算案とかってもう作ってるんですか?まだ年度初めだから無いですかね?」

「いや、俺たちでもう作ってある。これに基づいて作業していこう」



どうしたものか。優は仕事もできる。