「さくら、?」














さくら「クーン、」














さくらは僕のそばにきて














‘こっち来て’というように














チラチラこっちを見ながら














春の部屋へ連れて行ってくれた














ガチャ














「はる~、」














春「っ、」














あの日のように春は左胸を














強く掴んでいた














「はる、心臓痛い?」














そう聞くと、返事はなかったけど














胸をさらに強く掴んだのが














こっちからも分かった














「春、深呼吸しよう」














春「っ、」














「はーる、僕の手握って」














春「っ!」














無理そうだな、














点滴は春の部屋に常備してるけど














僕だけでは難しい














「さくら〜、凛ちゃん連れてきて」














伝わらなかったのか














さくらは首をかしげている














「りん」














さくら「わふ、」














きちんと返事をして














尻尾を左右に振りながら














凛ちゃんを呼びに行く姿は














すごくかっこよかった














「はる、手離して」














服が伸びてしまっていて














その間から赤くなった肌が見えている














春「っっ、」














凛「樹くん、」














「凛ちゃん、ごめんね














京に電話して、戻ってくるように言って」














凛「うん」














「はる~、痛いね」














1人では何もできない僕は














春の背中をさすることしかできなかった